外資系から外資系へ転職しました
今年の7月末に転職しました。
つまり、現在、転職してから4ヶ月以上が過ぎていることになります。
その間、転職ネタでブログを書きたいとずっと思い続けていました。
思っていただけでなかなか書けなかったのは、考えがまとまらないというか、主張したいポイントがはっきりしなかったのが理由でしょうか。
そんな中で、先日、数年ぶりに会った友人とこの話題でもりあがったところ、自分の中で何かがすっきりしたようで、ブログを書く気になりました。
社名は伏せますが、転職前後の会社の業種、職種はこんなかんじです。
From: 外資系ソフトウェアベンダ、アプリケーション
To: 外資系ファブレス半導体メーカー、開発業務
以下、4つのセクションに内容を分けます。
1)前職を辞めた理由
2)転職活動
3)現職、入社4ヶ月半の感想
4)ベーシック・インカムと教育の完全無償化
1)前職を辞めた理由
前職は外資系とはいえ、実質、「旧来の」日本企業でした。
「旧来の」とつけたのは、頑張っている日本企業と一緒にするのは失礼だからです。
「旧来の」で限定した会社は以下2つの特徴を持ちます。
a) 精神論を語るだけの管理職は変化を恐れ無策・無気力
b) 多くの社員は役職定年により一定の年齢になると給与が激減
前職が実質、旧来の日本企業だった理由は、母体が日本企業で、かつ、そこの出身者が仕切っていたという背景があります。
転職先の企業を選定する際には、外資系かどうかに加えて、その会社の設立からの沿革も確認するべきでしょう。
日本のエレクトロニクス産業の集落は、前職の売上減少に直結していました。
すると、本社(海外)は売上に比例した社員数しか許さないので、社員を減らすように指示してきます。
憶測ですが、人員削減にあたり指定されるのは人数だけで、具体的な対象までは指定されてなさそうでした。
このため、母体出身者達はそれ以外の社員を年齢順に切るとういう結果になります。
私は残念ながら母体とは無関係、かつ、年齢も五十代なので、いつ切られてもおかしくない条件がそろっていました。
突然の失職から再就職先をすぐに見つけようとすれば、年収は激減する可能性は高いです。
これは役職定年があるのと同じ状況といえます。
いい転職先があれば、こんな危ないところには居たくないという切迫感に常に苛まれるようになりました。
この切迫感をもって過ごした期間は4年くらいかと思います。
ストレスは半端無かったものの、良かった点もありました。
同じ業界の他社でも役に立つスキルは何かを常に意識して、それを身につけられるように努力し続けられたことです。
2)転職活動
転職サイトにはアカウント登録はしていました。
しかし、自発的にエージェントを使うなどの積極的な行動はとっていませんでした。
例外的に1年半ほど前に1社だけエンジニア募集に申し込んで落とされたことがありましたが。
基本的には、本気で職探しをするのは失職してからで、転職サイトへの登録はそれに備えてのウォーミングアップのつもりでした。
そんな中で、今回の転職の機会にありつけたのですが、きっかけは Linkedinでした。
Linkedinではこれまでも応募や面会のお誘いがあれば、わりとマメに応えていました。
しかし、正直、外れと思える提案ばかりだったので、全く期待しないようになっていました。
転職にいたるきっかけも、先方のHRからアクセスでした。
これまでも HRからのアクセスは何度かあって外れだったので、HRなら当たりとも思えませんでした。
このため、電話英会話レッスンの無料体験ができると思えば悪くはなかろうくらいの気持ちで応じてみました。
ところが、驚いたことに、トントン拍子に話が進んでオファーをいただくまでに辿りつけました。
本当に運が良かったのだと思います。
4年くらい気長に運がめぐってくるのを待てるのであれば、Linkedin で受け身の転職活動もありなのかもしれません。
3)現職、入社4ヶ月半の感想
オファーを頂いたポジションでの要件は、誤解を恐れず大雑把に表現すると、アナログとデジタル両方のスキルを持つことでした。
私はアナログが未経験だったので、デジタルの経験・スキルを買ってもらってのオファーでした。
このため、入社してからはアナログに関する勉強が大変です。
これは楽ではないのですが、持っていないスキルを給与をいただきながら身につけられるのは幸運なのかと思います。
4)ベーシック・インカムと教育の完全無償化
唐突に転職とは関係ない2つのキーワードを出します。
i) ベーシック・インカム(最低限所得保障)
ii) 教育の完全無償化
数年ぶりに会った友人ともりあがった話題は、旧来の日本企業にありがちな、
a) 精神論を語るだけの管理職は変化を恐れ無策・無気力
という問題点でした。
ここで、これまでとは逆に、この管理職立場になって考えてみました。
きっと、この類の人たちは、概ね、
ア) 上から言われたから管理職に就いただけ
イ) 今更、難しいことなんて勉強できないし、冒険なんて怖くてとんでもない
ウ)とはいえ、潔く退いて、生活の質を落とすのは嫌だし、家族がいれば道連れにできない
という状況なのでしょう。
彼らが現状にしがみつきたくなる理由は理解はできます(許せはしませんが)。
学校に通う青春まっただ中の子供が、親の失職にともなって学校を中退して人生を踏み外していく。
そんなストーリーにはだれもが同情するし、心を痛めるでしょう。
つまり、上記(ア)(イ)が発生しがちな理由には、人道的に(ウ)の結末に拒否反応があるのも一因だと思うのです。
そこで、ベーシック・インカムと教育の無償化のセットです。
この2つがあれば(ウ)は回避できます。
するとどうなるかというと、
● 無策、無気力な管理職を解雇しても人道的に心は傷まない
● それ以前に、潔い人は自分から会社を辞める選択肢を取りやすい
となることから、旧来の日本企業は急速に減っていくと期待できます。
人間もしょせんは犬や猫と同じ動物で、弱肉強食が基本です。弱者でありながらも恵まれている一部の人たちがしがみつくのが旧来の日本企業です。
この不公平で周囲にも迷惑な状況は、ベーシック・インカムと教育の無償化という最後にしがみつける公平なよりどころを作ることで早急に解消できるのではないでしょうか。
転職に話題を戻すと「現状が気に入らなければ愚痴などこぼさず転職すればいい」という論調を見かけることがあり、これは正論だと思います。
とはいえ、今回の転職では時間、体力、精神力を相応に消費しました。
転職は、いつでも、どこでも、だれもが気軽に出来ることではありません。
私自身についてはもう若くないのもあって、転職はこれで最後にしたいです。
身近に良い会社が増えてくれば、苦労の多い転職に迫られることも少なくなりますよね。